WEBサイトを分析する際に見る重要な指標の1つは検索流入だ。つまり検索エンジンであなたのWEBサイトが表示された時にやってくる訪問者のルートだ。あなたの管理しているWEBサイトはGoogle検索エンジンからやってくる人が多いのではないだろうか。SEO対策を行うためにも、リスティング広告を行うためにも、キーワードの分析は非常に重要だ。
例えば、Googleアナリティクスで分析をしているとしよう。左メニューの「キーワード」→「オーガニック検索」で、訪問者が検索をしてやってきた際のキーワードが表示されている。ここで気になるのが「(not provided)」だ。
(not provided)とは、そのままの意味で「供給されない、取得できない」つまり、「キーワードはわかりません」ということだ。「どうにかしてこの(not provided)の中身を見たい」「最近(not provided)の表示増えてない?」と、感じていないだろうか。
今回は、なぜ最近、(not provided)を見ることが増えたのか、その原因と対処方法ををご紹介したいと思う。(not provided)の中身がわかりさえすれば、わからずに悩んでいる方より、一歩も二歩も先に進むことができる。ライバルに差をつけるためにもぜひ身につけていただきたい。
(not provided)が多い原因とは?

ではまずは、(not provided)が多い原因から見ていこう。
httpsページからhttpページへ強制的にリダイレクトするため
SSL通信で検索した際、移動するページはほとんどが「http」となる。そして、httpsページからhttpページに移動した場合、ユーザー情報は渡されないという仕様になっている。そのため、Googleアナリティクスではキーワードが表示されない。これが(not provided)としてカウントされてしまう。ユーザーがGoogle検索を使う際は、標準でSSLでの検索に変更されている。つまり、私たちは強制的に「https://www.google.co.jp/」のドメイン下で検索することになり、そのため、検索キーワードが取得できなくなってしまったのだ。では、今後(not provided)がより増えていくにあたって、どうすれば検索キーワードを知ることができるのだろうか。
(not provided)の中身を知る方法は3つある。
1.Googleウェブマスターツールから「検索クエリ」のデータを使用する

上記は、Googleウェブマスターツールの「検索クエリ」画面だ。ここで以下の情報を得ることができる。
・流入キーワード(検索キーワード)
・そのキーワードで何回表示されたか(表示回数)
・その検索結果からのクリック率(クリック率)
・平均の掲載順位
Googleウェブマスターツールを使えば、順位チェックツールがなくても、平均掲載順位で大雑把な状況は把握でき、キーワードをクリックすれば、そのキーワードで表示されているページも知ることができる。ただし、ウェブマスターツールは「今現在、何位なの?」というリアルタイムな順位はわからないため、検索順位を知りたい場合は、SEOチェキやGRCなどの検索順位チェックツールを持つことをオススメする。
2.Googleアナリティクスのランディングページから検索キーワードを逆引きする
Googleアナリティクスから、Googleのオーガニック検索経由でどのページにどのくらいのアクセスがあるのかを調べてみる。「集客」→「キーワード」→「オーガニック検索」でセカンダリディメンションを使い、「ランディングページ」を選択

これは、ページごとに何の訪問だったかがわかる。つまり、ランディングページから逆引きで予測をするという方法だ。最初はピンと来ないかもしれないが、慣れてくればわかるようになってくる。真剣に眺めさえすれば、ユーザーの心理を読み取れるようになるだろう。
3.Yahoo!の検索キーワード情報を取得する
現在、GoogleはSSL化でキーワード情報の取得が難しい状態にある一方、Yahoo!は”まだ”SSL化されていない。Yahoo!アクセス解析を使えば、Yahoo!独自の検索クエリを取得することが可能だ。

見て頂ければおわかりの通り、Yahoo!検索は(not provided)がゼロだ。このYahoo!検索のキーワードデータを用いて、Googleアナリティクスと併用することで、相対的な分析が可能だ。データが多くなれば多くなるほど、情報の信用性が増すため、私が運用しているWEBサイトののキーワード分析を行うにあたっては、この方法がベストだと言える。
米Yahoo全ての検索にSSL化を適用
2014年1月に、米Yahooは検索を全て暗号化することに決定した。この変更では、Yahooのログイン状態に関わらず、検索は全て暗号化される。現状では日本には上陸していないが、時間の問題だろう。今のうちにYahooアクセス解析を導入し、検索語句を分析しておく必要がある。また、米YahooのSSL化については、「自サイトもSSL化されていればキーワードの取得が可能」といった検証結果もある。日本上陸時にどうなっているかは不明だが、Googleでもこうした、検索キーワードを取得できない問題には取り組むと発表している。
最後に
スッキリ明確に、とはなかなかいかないが、この3つの対策を覚えておけば、(not provided)に悩まされずにアクセス解析が行えるはずだ。現時点では、「Yahoo!の検索キーワード情報を取得する」こちらの方法がもっとも手軽ではあるのだが、検索セキュリティの強化はGoogleだけではなく、今後、Yahoo!や他の検索エンジンにも波及する恐れがある。今のうちに3つの方法をマスターして、何が起こっても変わらず分析していける力をつけておくべきだろう。